【あかね社会保険労務士法人監修】その離職理由で大丈夫?トラブルを防ぐ「雇止め・契約満了」の正しい書き方
2026.03.04
労務コラム
3月に入り、年度末の業務に追われている人事担当者様も多いのではないでしょうか。特にこの時期は退職が重なりやすく、短期間で多くの雇用保険離職証明書を作成しなければならない場面も増えてきます。
一方で、離職証明書は受給資格や給付日数に直結する重要な書類であることから、近年は従業員ご自身が内容を詳細に確認・調査されるケースも少なくありません。そのため、記載内容に誤りがあると、ハローワークからの照会・訂正手続きの発生する可能性もあり、丁寧かつ慎重な対応が求められる手続きです。
そこで今回は、特に記載誤りの発生しやすい「有期契約労働者の離職理由」に焦点を当て、実務上の注意点を一緒におさらいしていきましょう。
① 退職手続きの基本と必要書類
まずは基本の確認です。被保険者が離職した際、事業主は離職日の翌日から起算して10日以内に「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する義務があります。離職者が離職票を希望する場合(または59歳以上の場合)は、離職証明書を併せて提出します。
手続きにあたって、以下の書類を事前に揃えましょう。
特に有期契約労働者の方の場合は、現在の労働条件を適切に把握できる資料の準備が必要になりますので注意です。
• 賃金台帳、出勤簿、労働者名簿
• 離職理由の客観的証拠となる「雇用契約書」や「労働条件通知書」
② 法令解釈や実務判断は“声明”ではなく“事案対応”が重要
では、離職理由記載方法についてチェックしていきましょう。
有期契約労働者の場合、離職証明書の右側にある「⑦離職理由」の選択が重要です。主に「3 労働契約期間満了等によるもの」の区分を選択することになりますが、以下の区分を厳密に使い分ける必要があります。
●3(1): 更新上限(不更新条項)あり →「最長3年まで」という契約で3年満了
●3(2) :更新上限なし → 1年契約で、会社判断により更新しない
「1回の契約期間」「通算契約期間」「契約更新回数」等についても記載する必要がありますので、あらかじめ用意しておいた雇用契約書を参照し、適切な記載を行いましょう。
ここで注意が必要なのは、本人が更新を希望したにもかかわらず、会社側が更新しなかった場合です。「契約満了だから一律に一般の離職として扱う」という判断は、実務上の大きな落とし穴となり得ます。
有期契約が複数回更新されている場合や、一定期間継続して雇用されている場合には、契約期間満了であっても更新への合理的期待が認められることがあります。その場合、雇止めの事情によっては特定受給資格者に該当する可能性があります。
この場合、各種助成金申請に悪影響を及ぼす恐れもあるため、「これは解雇にあたらないだろう」と安易に判断せず、事前に慎重な確認を行うことが不可欠です。
③ まとめ
離職証明書は、正確な「契約内容」と「賃金実績」に基づき、制度のルールに沿って作成することが鉄則です。年度末の限られた時間の中でも、一つひとつの手続きを丁寧に進める姿勢が欠かせません。
近年では、離職時のトラブルがSNSや口コミサイトを通じて瞬く間に拡散してしまうこともあります。離職理由について誠実に説明し、本人が納得したうえで適切な手続きを行うことは、退職者との良好な関係を保つために不可欠です。
これは将来的な「再雇用」の基盤づくりにつながるだけでなく、新入社員や求職者が会社を調べる際のポジティブな印象にも直結します。
もし、事務負担の軽減と正確性の両立をお考えであれば、社会保険労務士への委託も有効な手段です。
専門家の視点から二重のチェックが受けられるだけでなく、電子申請の活用により、これまで添付が必須だった賃金台帳や出勤簿などの書類提出を、省略できるケースも多く、大幅な業務効率化が期待できます。
手続に関する不安がございましたら、年度末の繁忙期を乗り切るパートナーとして、ぜひ「あかね社会保険労務士法人」へお気軽にご相談ください。
あかね社会保険労務士法人

