制度が複雑すぎる!男性育休の「いつから、どう休む?」をスッキリ整理
2026.05.07
労務コラム
こんにちは。あかね社会保険労務士法人です。
2025年4月より段階的に施行されている「育児介護休業法」についてのチェックはお済みでしょうか。とりわけ2025年4月からは、柔軟な働き方の実現に向けた措置の強化などが追加され、企業に求められる対応は一層高度化しています。
改正当時も当コラムにて案内をさせていただきましたが、本年4月からは制度の個別周知および取得の意向確認がこれまで以上に厳格に運用されることとなり、従業員から妊娠・出産の報告を受けた際、会社側には「制度の案内」だけでなく、柔軟な働き方を実現するための措置を丁寧に行うことが求められています。
こうした社会の潮流に伴い、現場の担当者様から特に多く寄せられるようになったのが、男性の育休に関するご相談です。
男性向けの制度は、取得タイミングや回数の設定が柔軟な反面、女性の産育休制度とは異なる点も多く、その仕組みは非常に複雑です。今回は、法改正への対応を確実に行いつつ、制度を適切に組み合わせて運用するための実務の要点を整理していきましょう。
■1.義務化されている「個別周知」の4要素と意向確認
厚生労働省の指針では、本人または配偶者の妊娠・出産の申し出があった際、会社は以下の4つの事項を個別に周知しなければならないと定めています。この個別周知と意向確認は、以前の改正ですでに義務化されていますが、実務の重要性が増している今、改めてその基本をおさらいしておきましょう。
・育児休業、出生時育児休業に関する制度内容
・育児休業、出生時育児休業の申出先
・育児休業給付に関すること
・労働者が育児休業、出生時育児休業期間に負担すべき社会保険料の取り扱い
単にパンフレットを渡すだけではなく、これらの情報を正確に伝え、その上で取得の意向を確認することが実務のスタートラインです。特に男性育休の場合、出生直後の「出生時育児休業(産後パパ育休)」と、その後の「通常の育児休業」の違いを整理して伝えることは非常に大切です。従業員が自身のキャリアや家庭の状況に合わせて「どう休むか」を判断できるよう必要なサポートを行いましょう。
なお、個別周知および意向確認は、面談・書面交付・メール等の方法により実施する必要があり、取得を控えさせるような不利益な働きかけは禁止されています。実質的に取得判断ができる情報提供が求められる旨も留意しましょう。
■2.保険料免除と給付金に直結する正確な日数管理
実際に育児休業を取得した際、経済面での恩恵をどのくらい受けられるかは取得者本人にとって非常に気になるポイントでしょう。
そのうち個別周知の必須項目でもある「社会保険料の免除」と「給付金」の取り扱いには、正しい制度理解と実運用への応用スキルが求められます。特に、月の末日をまたがない休業における「同一月内14日以上の取得」というルールの判定には注意が必要です。
この14日間には、土日や祝日といった休日も含まれます。従業員が申し出た期間が、休日を含めて「14日」に達しているのか、それとも「13日」なのか。この1日の違いによって、保険料免除が適用されるかどうかが決まります。これは制度上の要件を一つずつ確認し、正しく事務処理を行うという地道な作業ですが、従業員が受けるべき経済的支援を確実なものにするために、実務担当者が最も意識すべきポイントの一つです。
■3.希望に合わせた「制度の組み合わせ」と処理の判断
従業員から一定期間の休業希望があった際、まず検討すべきは「どの制度の枠を割り当てるか」という点です。男性の育休には、出生後8週間以内に取得できる「産後パパ育休(出生時育児休業)」と、それ以降も続く「通常の育児休業」の二種類があります。
産後パパ育休は28日(4週間)を上限とし、2回に分割しての取得が可能ですが、これは通常の育休とは別枠として扱われます。例えば、出生直後の最初の28日分を産後パパ育休として処理することで、通常の育休(原則2回まで)の分割枠を消費せずに温存することが可能です。このように各制度の特徴を活かして組み合わせることで、配偶者の復職時など将来の状況変化にも対応できる、柔軟な休業計画を実務面から支えることができます。
■4.出産日の前後による「有効期間」の再計算
実務上、最も混乱が生じやすいのが、出産予定日と実際の出産日のズレに伴う期間の計算です。産後パパ育休の対象期間(出生後8週間)は、「出産予定日」と「実際の出産日」の二つの日を基準にして算出されます。
例えば、出産が予定日より遅れた場合、終了日の基準が後ろにスライドするため、取得可能な有効期間も変更になります。この変動に合わせて、従業員の希望する日程が法的な範囲内に収まっているかを再計算し、申請データを整える必要があります。出産後の慌ただしい時期だからこそ、会社側が正確な期日を把握し、着実に手続きを進めることが、従業員への安心感へと繋がります。
■5.まとめ
男性の育児休業は、制度の組み合わせや計算ルールが多岐にわたり、一つひとつのケースに頭を悩まされている担当者の方も多いかと思います。しかし、法で定められた周知事項を正しく伝え、複雑な日程計算を一つずつ紐解いて処理していくことが、円滑な制度運用と企業への信頼構築の近道です。
あかね社会保険労務士法人では、オフィスステーション等の労務管理ツールを活用し、複雑な日程管理や保険料免除の判定を正確に行える体制を整えております。
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