あかね図書室日記:『武器になる哲学(人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50)』

「あかね図書室日記」は、スタッフが読んだ本を通じて学びを共有するコーナーです。
専門性・人間力・組織力を大切にする私たちが、本から得た気づきを少しずつ言葉にしています。

 

 

◆書籍:武器になる哲学(人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50)/山口 周/KADOKAWA

◆ジャンル:人間力・組織力

◆投稿者:川向 佐奈

◆読んだきっかけ

 

日々の業務にあたる中で、正しいはずなのに、なぜかうまくいかないと感じる場面があります。正しいことと、受け入れられることは、必ずしも同じではない…そんな場面に直面するたびに、人や組織を動かしているものは、ルールや合理性だけではないのではないか、と感じるようになりました。

そもそも自身が、哲学に興味があり、それをどう現在の実務に活かすのか気になっていたこともあり、本書を選びました。

 

◆内容紹介

 

「哲学」と聞くと、多くは、正直難しそう、役に立つの?、昔の人の話だ、と感じると思います。
しかし本書は、そのイメージをいい意味で裏切ります!!

哲学は、当たり前を疑うための技術だと本書は教えてくれます。

 

例えば、日々仕事の中で、こんな言葉をよく使いますよね。
「それは常識的に考えて。」
「普通はこうしますよね。」
「社会人として当然。」

 

社会人になった途端、それまで誰も教えてくれなかった社会人らしさを、当然のように求められるようになりますね。
(自身の社会人1・2年目や、Adoの「うっせえわ」の歌詞を思い出します。(笑))

 

ですが、この常識とは一体何なのでしょう。誰が決めたのでしょうか。
いつから、それが正しいことになったのでしょうか。

 

本書では、古代ギリシャから現代に至る哲学者たちが、こうした当たり前に疑問を投げかけてきた歴史を紹介しています。

 

哲学って遠い世界に感じますが、意外と身近な人事労務の本質を紹介している本だと気づけた1冊です。

 

◆感じたこと、気づき

 

私は、制度やルールは合理的であればある程度は受け入れられるはず、とどこかで考えていました。
ですが、実際には、合理的なのに反発される制度や非効率なのに支持される慣習が存在します。

 

なぜこのようなことが起こるのか。それは、人は合理性ではなく意味で動くからです。

 

たとえば、「人はなぜ組織のルールに従うのか」という問い。これは労務の世界では非常に身近なテーマです。
就業規則を作り、ルールを定めても、自然に守られるとは限りません。なぜなら、人は正しいからではなく、納得したから動く生き物だからです。
哲学者たちは、人が行動する理由は合理性だけではなく、空気、感情、権威、物語といった、目に見えない要素に強く影響されることを指摘してきました。
つまり、制度やルールは正しく作るだけでは不十分で、意味を持たせることが重要だということです。

 

同じ出来事でも、会社の解釈や従業員の解釈は、大きく異なります。
そのズレこそが、対立や不信感を生む原因になります。
人事労務の世界では、法令遵守や法的に正しい答えを示すことも重要ですが、
この双方の解釈のずれを理解し、橋渡しをすることが一番求められているかもしれないと感じました。

 

哲学は、すぐに使えるスキルやテクニックではありません。
ただ、長い長い社会人人生の中で、長期的には、判断の質や物事をどう見るかという思考の視点を高めてくれる静かな武器だと感じました。

 

これからは、この制度は正しいか?という正誤の判断に加えて、この制度は、人にとって意味があるか?というもっと深い問いを持ちながら、実務に向き合っていきたいと思います。