あかね図書室日記:『キャリア論と労働関連法24講 ― キャリアを考え、労働法を学ぶ』

「あかね図書室日記」は、スタッフが読んだ本を通じて学びを共有するコーナーです。
専門性・人間力・組織力を大切にする私たちが、本から得た気づきを少しずつ言葉にしています。

 

◆書籍:『キャリア論と労働関連法24講 ― キャリアを考え、労働法を学ぶ』中川直毅 編著 三恵社(2024年)

◆ジャンル:専門力

◆投稿者:山中 晶子

◆読んだきっかけ

当法人の顧問・中川直毅先生の著書です。今年度から、この本を教科書とする大学のオムニバス方式の講義に担当講師として参加することになり、あらためて通読しました。

◆内容紹介

キャリアを積み上げる「矛」と、働く自分を守る「盾」を一冊で学べる構成です。
前半のキャリア論では、仕事だけでなく人生全体の役割を設計する「ライフキャリアレインボー」の考え方や、収入以外の目的で複数の仕事を持つ「パラレルキャリア」、そして45歳以降の役職定年や再雇用という現実を直視した中高年のキャリア戦略まで扱っています。
後半の労働法・社会保障法では、36協定や解雇の四要件、ハラスメント対策といった労務の基本から、高額療養費・傷病手当金・労災給付・失業給付まで、働く上で直面しうるリスクとその備えが網羅されています。単なる法律の羅列ではなく、「自分の身に起きたら」という視点で読み進められる点が特徴です。

 

◆感じたこと、気づき

社労士として顧問先様と向き合うとき、また自分が法人を経営する立場になって気づいたことがあります。労働トラブルの多くは、悪意より「知らなかった」から起きています。使用者側も、労働者側もです。

本書が「矛と盾」と表現しているのは言い得て妙で、キャリアの戦略(矛)と法の知識(盾)は本来セットであるはずなのに、多くの人が片方しか持たないまま社会に出ていきます。社労士になって、また経営者として職員を雇用する側に立つようになって、その構造がよく見えるようになりました。

 

大学生のころにこういう本と出会えていたら、と率直に思います。と言いながらも、当時の自分にはまだ「実感」がなかったので、読んでも半分も届かなかっただろうとも思います。だからこそ、実務を積んだ社労士が講師として教壇に立つ意味があるとも感じています。制度の説明だけでなく、「知らなかったことで損をした人を何人も見てきた」という経験を、講義で伝えたいと思っています。