労働判例カンタン解説【vol.0 】イントロダクション

こんにちは。

よつば社会保険労務士事務所の石川です。
今月からブログ新シリーズ『労働判例カンタン解説』をお届けいたします。
今日はイントロダクションとして、なぜ判例なの?にお答えしたいと思います。

労働判例とは、労使トラブルを争った裁判の結果のことです。
私たち社会保険労務士は訴訟の代理人になることはできません。
でも、私たちが労働判例を学ぶのには理由があるのです。

労働基準法をはじめとする労働関連法には『客観的合理的』、『社会通念上相当』とか『不利益の程度』といった表現が山ほど出てきます。

『???』

そうです、具体的にどんなことを指すのか条文だけではわからないのです。

どんな法律にも同じようなことはありますが、特に労働法には『解釈』が求められる場面がとっても多いのです。
その『解釈』が裁判で都度示されるため、日々みなさまから寄せられるご相談におこたえするには私たち社会保険労務士が判例を学ぶことはとっても大事なことなのです。

また、労働事件の裁判にはその時代背景が大きく関わっています。
『えっ!今だったらこんな結果になるかな?』『こんな争いは現代ではあり得ない!』ようなこともあります。
その判決が出たとき、どんな世の中だったのかを知らなければびっくりしてしまうこともしばしば。
判決が出た後に、新しく法律ができたり通達が出たりすることもあれば、その判決はおかしい!と偉い先生たちが反対意見を主張したりもします。
そう、すっきりしないことがよくあるんです。一つの事件を学ぶたび結論を噛みしめます。
私が会社側だったらどう感じるか?訴えた労働者だったらこの結果は嬉しいのかな?とモヤモヤ・・
私は労働事件のモヤモヤも好きなんです。

社労士になる前に金融機関に勤めていた私にとって『法律は貸したお金を返してもらうためのもの』でした。
社労士になってから、法律は思ったより単純じゃないぞ、意外とウエット(人間くさい)だなと思うようになりました。
「働く(労働する)」って結局「ひと」の問題なので、それを裁判官もよく分かっているのです。
労使共に「誠意」が大事なんです。
このシリーズでは、そんな私が代表的な判例を『カンタンに』解説しますので、ぜひ楽しんでお読みくださればうれしいです。