2026年夏に向けて確認したい「職場の熱中症対策」 ―企業に求められる安全配慮義務と、今から進めたい実務対応―

こんにちは。あかね社会保険労務士法人です。

気温の上昇とともに、企業における熱中症対策の重要性が高まる季節となりました。
近年は猛暑日が増加し、屋外作業だけでなく、工場・倉庫・厨房などの屋内環境においても熱中症リスクが高まっています。
従業員の健康被害を防ぐことはもちろん、場合によっては労働災害として認定され、企業の安全配慮義務が問われる可能性もあるため、早めの備えが重要です。
今回は、企業に求められる熱中症対策と、今から取り組みたい実務対応について整理します。

 

■1.熱中症は「労災」となる可能性があります

業務中に発症した熱中症は、一定の要件を満たせば労災保険給付の対象となる可能性があります。
特に、次のような職場では注意が必要です。

• 屋外建設現場
• 製造業の高温作業場
• 配送・運送業
• 介護・訪問サービス
• 厨房や空調負荷の高い施設

企業には、労働契約法第5条に基づく安全配慮義務があり、従業員の生命・身体の安全を確保するために必要な措置を講じることが求められます。
熱中症についても、「本人の体調管理に任せる」のではなく、会社として予防措置を講じていたかが問われる時代になっています。

 

 

■2.企業に求められる主な対策

厚生労働省では、職場における熱中症予防のため、次のような対策を示しています。

(1)暑さ指数(WBGT)の把握
気温だけではなく、湿度や輻射熱を含めたWBGT(暑さ指数)を確認し、作業環境の危険度を把握することが重要です。

WBGT計を設置し、一定の数値を超えた場合には、
• 作業時間の短縮
• 休憩回数の増加
• 作業内容の見直し
などの対応を検討することも1つの手です。

(2)休憩・水分補給ルールの明確化
「各自で適宜対応」ではなく、会社として具体的なルールを定めることが重要です。

例えば、
• 30分ごとの水分補給
• 塩分補給用品(塩飴・タブレット等)の配布
• 定期的な休憩取得
• 涼しい休憩場所の確保
など、実施基準を明文化しておくことで、現場での対応にばらつきが出にくくなります。

(3)設備・備品の整備
近年は、設備面での熱中症対策を進める企業も増えています。

• 空調服・冷却ベスト
• スポットクーラー
• ミストファン
• 遮熱シート

こうした対策は、従業員の安全確保の観点から有効です。

(4)従業員への教育
熱中症の初期症状を早期に察知し、対応できるようにすることも重要です。

代表的な症状には、
• めまい
• 頭痛
• 吐き気
• 倦怠感
• 判断力の低下 などがあります。

「少しおかしい」と感じた段階で作業を止め、報告・対応できる職場風土づくりが、重大事故の防止につながります。

 

 

■3.熱中症対策は「制度化」と「運用」がポイント

熱中症対策は、設備を整えるだけでは十分ではありません。
継続して実施できるよう、制度として整備し、運用する仕組みづくりが重要です。

例えば、
• 安全衛生委員会での議題化
• 就業規則や安全衛生規程への反映
• 緊急時対応フローの整備
• 管理職向け対応研修
• 休憩取得状況や勤務実態の確認

こうした対応を通じて、現場任せではない労務管理体制を構築できます。

 

 

■4.熱中症対策をきっかけに、「仕組みで守る労務管理」へ

熱中症は、適切な対策によって予防可能な労働災害です。
そして、その対策は単なる季節対応ではなく、企業の労務管理体制を見直す機会にもなります。

「ルールを整備したいが手が回らない」
「就業規則への反映方法が分からない」

そのような場合は、専門家を活用しながら進めることも有効です。
当法人では、就業規則・社内規程の整備などを通じて、企業の継続的な労務管理をサポートしています。

今年の夏に向けて、ぜひ一度、自社の熱中症対策を点検してみてはいかがでしょうか。

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