定年後も働く社員が増える今、企業が確認しておきたいポイント
2026.10.09
労務コラム
こんにちは、あかね社会保険労務士法人です。
「定年後も働きたいけれど、給与が増えると年金が減ってしまうのでは?」
60歳以降も働きながら年金を受け取る方が増える中、このような疑問を持つ従業員も少なくありません。
2026年4月から、在職老齢年金制度が改正され、老齢厚生年金の支給停止が始まる基準額が引き上げられました。
今回は、制度の変更点とあわせて、定年後再雇用を行う企業が確認しておきたい人事・労務上のポイントについてご紹介します。
1. 在職老齢年金とは?
在職老齢年金とは、厚生年金保険に加入しながら働き、老齢厚生年金を受け取る場合に、賃金と年金額に応じて、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組みです。
2026年4月からは、支給停止の基準額が「65万円」に引き上げられています。つまり、賃金と老齢厚生年金の合計の額が月65万円以下であれば、在職老齢年金による支給停止はありません。65万円を超えた場合には、超過した額の2分の1相当額が老齢厚生年金から支給停止されます。
なお、老齢基礎年金はこの調整の対象ではありません。
※実際の計算では、単純な「給与+年金」ではなく、標準報酬月額や賞与をもとに算出する「総報酬月額相当額」と老齢厚生年金の「基本月額」を使用します。
2.「定年後の給与」をどう考える?
今回の改正によって、定年後再雇用の従業員にとって、給与と年金の関係を考える際の基準が変わりました。
例えば、これまで「給与を増やすと年金が減ってしまうから、勤務時間を抑えたい」と考えていた従業員がいた場合でも、今回の基準額引き上げによって、一定の範囲では年金の支給停止を気にせず働ける可能性があります。一方で、企業側が「年金が減らないように給与をこの金額に設定しよう」と一律に判断することは適切ではありません。
定年後の働き方は、年金だけではなく、本人の希望、仕事内容、勤務時間、給与・賞与、社会保険への加入など、さまざまな要素を踏まえて決める必要があります。
3.企業が見直したい「定年後再雇用」の仕組み
在職老齢年金の改正をきっかけに、ぜひ一度確認していただきたいのが、会社の定年後再雇用制度です。
例えば、
・定年後の再雇用に関する規定は現在の運用と合っているか
・再雇用時の労働条件は適切に設定されているか
・給与や勤務時間の変更に伴う社会保険の手続きは適切か
・高年齢雇用継続給付の対象となる可能性はないか
・再雇用後の仕事内容や責任範囲は明確になっているか
・従業員から年金や社会保険について相談された際の案内方法は決まっているか
といった点です。
特に、定年後に給与や勤務時間が変わる場合、社会保険や雇用保険の手続きが発生することがあります。
「給与を変更するだけ」と考えていたところ、実際には社会保険の手続きや就業規則の確認など、複数の対応が必要になるケースもあります。
4.社労士法人に相談するメリット
定年後再雇用に関する対応は、年金だけを見て判断するのではなく、「会社の制度」と「実際の従業員の働き方」をまとめて確認することが重要です。
社会保険労務士に相談することで、例えば、
「就業規則ではどうなっているか」
「再雇用時の労働条件はどう設定するか」
「社会保険・雇用保険の手続きは必要か」
「給与変更によって社会保険料はどう変わるか」といった事項を、労務の視点からまとめて確認することができます。
また、企業が従業員から「給与をいくらにしたら年金が減らないのか」と相談を受けた場合にも、制度の概要を踏まえた案内や、必要に応じて年金事務所等への確認を促すなど、会社としての対応方法を整理しておくことができます。
社内だけで一つひとつ確認するのではなく、定年・再雇用制度、就業規則、労働条件、社会保険・雇用保険の手続きをまとめて確認できることは、社会保険労務士に相談するメリットの一つです。
5.「定年後も働きやすい会社」へ
少子高齢化や人手不足を背景に、経験豊富な人材に長く活躍してもらうことは、多くの企業にとって重要なテーマとなっています。
そのためには、単に「定年を延長する」「再雇用する」だけではなく、給与、勤務時間、仕事内容、社会保険、就業規則などを含めて、働き方全体を整えることが大切です。
2026年4月の在職老齢年金制度の改正は、こうした制度を見直す一つのきっかけになります。
「定年後再雇用の制度が以前のままになっている」
「再雇用後の労働条件をどう設定すればよいか分からない」
「社会保険の手続きまで含めてまとめて確認したい」という場合には、一度、現在の制度・規則・運用を整理してみてはいかがでしょうか。
あかね社会保険労務士法人では、就業規則の確認・見直しから、定年後再雇用時の労働条件、社会保険・雇用保険の手続きまで、企業の状況に応じた人事・労務管理をサポートしています。
定年後も従業員が安心して働き続けられる環境づくりと、企業にとって無理のない制度設計を、労務の専門家と一緒に考えてみませんか。
あかね社会保険労務士法人

