2026年10月からカスタマーハラスメント対策が義務化!企業が今から準備すべきこと
2026.09.02
労務コラム
こんにちは、あかね社会保険労務士法人です。
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」について、事業主が雇用管理上必要な措置を講じることが義務となります。
「お客様から厳しいご意見をいただくことは仕方がない」「クレームには現場の担当者がその都度対応している」――このような考え方のままでは、これからの企業のハラスメント対策は十分とはいえません…!
今回の改正は、カスハラを禁止しましょう!というものではありません。企業には、カスハラによって従業員が就業環境を害されることを防ぐため、方針の明確化、相談体制の整備、発生時の対応など、具体的な取組が求められます。厚生労働省は2026年2月にカスハラ防止指針を公表しており、10月の施行に向けて企業の準備が必要です。
1. そもそもカスタマーハラスメントとは?
カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などからの言動のうち、その内容や態様等が社会通念上許容される範囲を超え、それによって労働者の就業環境が害されるものをいいます。
ここで重要なのは、顧客からの苦情やクレームのすべてがカスハラになるわけではないということです。
例えば、商品やサービスに問題があり、顧客がその改善を求めること自体は、通常の苦情・クレームとして適切に対応すべきものです。
一方で、正当な理由のない長時間の拘束、過度な謝罪の要求、従業員への人格否定や暴言、脅迫的な言動など、社会通念上許容される範囲を超えた言動については、従業員を守る観点から企業として対応を検討する必要があります。
2.「現場任せ」から「会社として対応する」へ
今回の法改正で企業に求められるのは、カスハラが発生した際に担当者個人へ対応を任せることではありません。まず重要なのが、会社としてカスハラを許容しないという方針を明確にすることです。
さらに、従業員から相談を受けるための窓口や体制を整え、相談したことを理由として不利益な取扱いを受けることがないようにするなど、従業員が安心して相談できる環境を整えることが求められます。
また、実際にカスハラが発生した場合に備え、「誰が」「どのように」「どの段階で」対応するのかをあらかじめ決めておくことも重要です。
例えば、
• 一定時間を超えるクレームは管理職へ引き継ぐ
• 暴言・脅迫等があった場合の対応ルールを決める
• 電話対応を一人で抱え込ませない
• 必要に応じて複数名で対応する
• 事実関係を記録する
• 従業員の心身への影響を確認する
といった具体的な対応ルールを整備しておくことで、現場の従業員が「どこまで自分で対応すればよいのか分からない」という状況を防ぐことができます。
3.カスハラ対策は接客マニュアルの問題ではない
企業が注意したいのは、カスハラ対策を顧客対応マニュアルの問題として捉えないことです。これは、従業員の安全と職場環境を守るための人事労務上の課題でもあります。
特に、医療・介護・福祉、建設、不動産、小売、飲食、運送、サービス業など、顧客や利用者と直接接する機会の多い企業では、カスハラ対策の重要性はますます高まっています。
うちの会社では今まで大きな問題が起きていないという場合でも、問題が発生してからルールを作るのでは遅いケースがあります。
4.10月までに企業が確認したい5つのポイント
10月1日の施行を前に、まずは次の5点を確認してみましょう。
1. 会社としてのカスハラに対する基本方針が明確になっているか
2. 従業員が相談できる窓口・担当者が決まっているか
3. カスハラが発生した場合の対応ルールがあるか
4. 管理職や従業員に対して、カスハラに関する周知・研修を行っているか
5. 発生した事案を記録・共有し、再発防止につなげる仕組みがあるか
特に注意したいのは、規程を作っただけで終わらせないことです。
実際にカスハラを受けた従業員が、会社に相談してよい・会社が対応してくれると理解して初めて、制度が機能します。
5.従業員を守る会社であることが、これからの企業価値になる
人手不足が続く中、従業員が安心して働ける環境を整えることは、ただの法令遵守にとどまりません。お客様だから何を言われても我慢するという職場では、従業員の疲弊や離職につながる可能性があります。
一方で、会社として一定の線引きを行い、従業員を守る姿勢を明確にすることで、従業員が安心して顧客対応に取り組める環境づくりにつながります。
2026年10月1日は、カスハラ対策を考え始める日ではなく、会社として具体的な仕組みを運用するスタートラインです。
まだ対応していない企業は、まず自社でどのような顧客対応が発生しているのかを洗い出し、現在の規程・相談体制・対応フローに不足がないか確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
法改正への対応をきっかけに、「従業員を守る仕組み」を会社全体で考えることが、これからの人事労務管理においてますます重要になっていきます。
6.自社のカスハラ対策、今のままで大丈夫ですか?
2026年10月1日の義務化に向けて、「何から準備すればよいのか分からない」「就業規則や社内規程まで見直す必要があるのか」「相談窓口はどう整備すればよいのか」といった疑問をお持ちの企業も多いのではないでしょうか。
カスハラ対策は、会社ごとに顧客との接点や業務内容が異なるため、画一的な対応では十分とはいえません。
まずは現在の顧客対応や社内の相談体制を確認し、自社に必要な対策を整理することが重要です。
「自社の場合、何を準備すればよいか分からない」という場合は、ぜひ一度ご相談ください。
あかね社会保険労務士法人では、カスハラをはじめとするハラスメント対策について、企業の状況に応じた対応方法や社内体制の整備についてご相談を承っています。
10月の施行を前に、まずは自社の現状を確認してみませんか?
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